だててんりゅうのアルバムはこうでなくちゃっ!と思うような新譜だ。基本的にライヴ音源を中心にこれまでのアルバムも収録してきた。臨場感、ドライヴ感が「命」のようなだててんりゅうの真骨頂はまさにライヴで体感できる。 『クール・フライング・ドラゴン』というタイトルは、昨年の渡米ツアーの際、シスコの新聞がだててんりゅうを評して新聞に載せたことばだそうだ。まさに的を射た表現ではないかと思う。クールは冷めたという意味ではなく「かっこいい」とか「いかした」という俗語表現だが、もし、だててんりゅう=伊達天龍ならば、まさにその通り。 本作は京都磔磔でのライブ音源を中心に以下のような構成になっている。
隣雅夫、井上衛、杉浦正周(『2001拾得ライブ』からのメンバー)と昨年のツアーから参加の田中マロン康彦(ギター)がレギュラー・メンバー。そしてゲストに松田幹夫(「1979村八分西部講堂アンダーグラウンドテープス」、「だててんりゅう/凪」に参加。山口富士夫と比較される伝説のギタリストだ)プログラミングにサンジェゴを本拠に活動する音響派ミュージシャンのマルコス・フェルナンデス。クロマチックハーモニカの世界大会でも優勝経験のある、あらいなおこ。京都、耽美派バンド「ピカリンス」のリーダー、かせはなえ(コーラス)。という面々。 特に松田幹夫は20年ぶりの復帰。そのブルース・ロックをルーツとした演奏は20年というギャップを感じさせない味わいがある。トラック8「OLD SUN 」で松田幹夫のリード・ヴォーカルも聴ける。渋い!
隣さんの話ではメンバー的には「京都、京都した和な感じ」ということだが、CDから出てくる音は僕等が70年代に体感し共鳴した、洋楽の影響を受けた和製ロックの凄さ、そして今だからできる繊細なアレンジとの見事な調和だ。荒々し さと繊細さが小気味よく混ざって、音楽好きの心を酔わせてくれる。隣さんのキーボードはローランドVK7とカーツエルK-2661を多用したとのこと。VK7(オルガン)の音が気持ちいい! (野田誠司)
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