世界的にもあまり類を見ない、ベース&ドラムによるかなり強烈なトランスグルーヴの上で、オルガン・ピアノ・シンセサイザーを駆使した縦横無尽に飛び回るキーボードが冴えるSF映画やアニメーション的ディープな世界観を構築するのはリーダーであり、ベーシストのToshによる「サウンドシネマ」というコンセプト。
その彼について少し触れると、'70年代後半からの活動歴があり数々のバンド経験後'80年代半ばにジャパンメタルシーンで活躍した「SNIPER」の第2期メンバーとして在籍するも自己探求を目的に、'80年代後半に単身渡米、リコーダーとパーカッションによるストリートパフォーマンスやゲリラライヴを体験するうちに日本人である事に目覚めたという。
帰国後「DYNAGON」を結成する(オリジナルメンバーに現在”SHIGEO ROLLOVER”の中野重夫が在籍していた事でも知られる)が、突然の活動休止のまま伝説化。その後の詳細は不明だが、長い沈黙の後、2005年満を持して「GONZ」として復活したそのサウンドは昨年リリースされた1stCDを聴く限り、基本的にインストである事を含め「DYNAGON」時代の延長線上にあるもののギターレスで、よりリズムセクションが前面に押し出されている。低音中毒リスナーやグルーヴ愛好者のツボをくすぐると同時に、そのグルーヴセンスや、世界観を表現するのに必要最小限のエフェクティヴな変拍子とワイルドかつ描写的なキーボードとが相まってプログレファンにも楽しめそうな仕上がりとなっている。
全8曲、50分程のアルバムだが続けて何度も聴いてしまうぐらい魅力的で、オリジナリティ溢れる内容だ。数あるインスト楽曲が、いわゆる超絶技巧を駆使した難解なものが多いのに対して、彼らのアプローチは感性に訴えかける−メンタルリッチなのだ。例えばM1・4・5・6のようにジャケットデザインをイメージさせる曲もあれば、M7のようにタイトル・曲・ナレーションがひとつのメッセジになっていたりする。特筆すべきは、アルバムラストM8のバラードだ。10分の大作だが、ここでのベースとキーボードの対比は素晴らしく曲全体を通してベースが唄っているから驚きだ。GONZの3人−タダ者ではない。
*Member Tosh Miyata (Ba) Sin Tsuzi (Ds) Talkey Sakamoto (Key)
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